平成24年2月7日
1.「産業の空洞化」と政府の対応状況は?
国内産業の生産拠点が海外に移転することを「産業の空洞化」と言います。昨年の震災以降の歴史的な円高などを受けて、日本では「空洞化」が加速。国際競争力の大幅な低下を招きかねない状況が続いています。政府はこのような現状を踏まえ、国内に生産拠点・研究開発拠点を置く企業に、補助金を支給する「空洞化対策」を打ち出しました。財源には、今年度の「第3次補正予算」の一部が充てられます。
2.最近の動向
経済産業省は、補助金の対象となる事業を11月から公募し、先週、その審査結果を発表しました。予算枠の2,950億円に対し、今回選ばれた事業の数は245件、補助金の総額は約2,023億円です。
経済産業省では、今回の対応が、補助金額の約6倍の約1兆2,600億円の設備投資を呼び起こすと見ています。
今回の補助金で国が重要視したのは、サプライチェーン(供給網)の中核で代替のきかない部品や、付加価値の高い成長分野です。
今回の審査で選ばれた主な事業には、「電子部品や自動車、航空・宇宙産業における中核部品や素材」、「先端分野を扱う金属・化学」、そして「エネルギー・医療分野」などがあります。
3.今後の展開
今回の補助金を活用し、政府の支援によって設立される工場には、震災前の雇用水準を4年間維持するなどの条件が付けられています。経済産業省では、今回の対応による、周辺産業を含む雇用の創出効果を約20万人、経済効果は毎年約4兆9,000億円にも達すると試算しています。そして、予算にはまだ余裕があるため、4月以降に第2次の公募を行う予定です。
ただし、今回のような補助金で、国内に工場などの生産拠点が設けられたとしても、その他の事業環境が不安定なままでは、「空洞化」に歯止めをかけることはできません。長引く円高や、電力不足、高い法人税率など、「空洞化」の要因を一つ一つ見直して改善することが必要です。今回の対応策が、日本の経済成長や復興ペースの加速につながることを、是非とも期待したいと思います。
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